ある日便秘薬を飲んだら、明け方すごくお腹が痛くなってしまった。
腹痛のみならず、吐き気、手足のしびれ、耳鳴りがして、トイレに這うようにしていったり。
食べ物を食べるとすぐに気持ち悪くなりなんでも嘔吐してしまう…
めまいはしょっちゅう、頭痛も伴って何かに捕まらないと倒れそうになるほど…
このように便秘が引き起こす症状はさまざまですが、いきなり様々な症状が現れたら便秘以外の重大な病気なんじゃないかと心配になりますね。
(もちろん、便秘もれっきとした病気ですが)
たかが便秘でそんなにいろいろな症状がでるの?と思うかも知れません。
しかし腸は第2の脳と呼ばれ、体の中で脳の次に神経細胞が多いのです。
ゆえに、腸の調子が悪くなると、神経を伝わって体のあちこちに症状が現れるのです。
最近の研究では、臓器同士が脳を経由せずに、お互いに直接コミュニケーションをしていることがわかってきました。
ゆえに臓器が不調になると、コミュニケーションのための伝達物質がうまく作れなくなって、その結果、ほかの臓器の不調につながるということです。
あるいは腸は食べ物から栄養分を吸収する機能を持ちますが、身体に悪い成分も吸収してしまいます。
通常であれば、悪い成分は主に肝臓がキッチリ分解してくれますので問題はありません。
しかし、腸内環境が悪く、悪玉菌が優勢な場合は、身体に悪い成分が多く生成され、それが分解しきれずに他の臓器に悪影響が現れます。
このように、腸の不調により身体に現れる症状は様々ですが、今回は吐き気という切り口からまとめてみました。
便秘と吐き気の関係とは?
なぜ、吐き気が起こるのか。その原理。
まず、原理から説明。
吐き気(嘔気)や嘔吐(おうと)は何らかの原因により、延髄(えんずい)にある嘔吐中枢が刺激されておこります。
この刺激が軽いと吐き気、さらに進めば嘔吐となります。
嘔吐神経に刺激が加わると胃の出口が閉まり、胃の入口が開き、胃に逆流運動が発生。
それとともに横隔膜や腹筋が収縮して胃を圧迫し、胃の内容物が排出されるわけです。
そして・・・吐き気の原因は、
(1)腹部内臓刺激(末梢神経の刺激)
(2)血液を介するもの
(3)前庭感覚刺激
(4)嗅覚、味覚、視覚性入力によるもの
(5)精神性入力によるもの
(6)中枢神経の刺激によるもの、と6つのタイプに分類されます。
便秘の場合は、主に1が該当するみたいですね。
便というのはある意味、生ごみみたいなもの。
悪玉菌がそれを食べると毒素や有害物質が放出されます。
通常であれば量も少なく速やかに排便され、毒素(等)の影響はさほどありません。
しかし、便秘により腸全体の動きが悪くなると、便はなかなか外にでませんから毒素の濃度は上がります。
これを身体が危険と感知して吐き気が発生するわけです。
便秘時には吐き気以外にどんな症状がある?
口臭
口臭は普通に考えると、口の中が問題と考えます。
口の中、つまり直前に口にした食べ物や歯に付着した食べカスなどがにおいを発していることや、歯周病などの口内の病気が口臭の原因になるから。
これらが原因となる口臭の場合、口から発せられるにおいは食べ物に似たものであったり、腐った肉のようなものであることが一般的です。
しかし、便秘による口臭が発生する場合もあります。
便秘による口臭の特長は、腐った卵の臭いやカビ臭、アンモニア臭。
また、口臭以外にも体臭からも同じようなにおいが感じられる。
こうした臭いは、便秘により引き起こされた体内の不調のサインといわれています。
肌荒れ
上記のように、毒素の濃度が上がると、肌から臭うようになります。
本来は、肌から出すべきでないものを肌から出しているわけですから、
肌にとってよいはずもありません。
具体的には腸内で悪玉菌が優勢になると、腸内の腐敗が進み、悪玉菌が作り出すアンモニア、インドールやフェノールという有害物質が増えます。特にフェノールは体内に吸収されると肌に蓄積し、くすみやカサカサ肌の原因になります(注1)。
皮膚細胞を活性化させるビタミンである、ビオチン(ビタミンB7)は善玉菌によって生成されます。善玉菌が少なくなればビオチンも減り、肌の新陳代謝の機能も弱くなります。
ちなみにですが、ビオチンにはコラーゲン生成促進、代謝促進等の効果が期待され、美肌効果だけでなく、アトピー性皮膚炎の治療にも用いられています。
便秘による吐き気のまとめ
お腹の不快な症状というものはいわゆる胃腸炎=感染症の様に、短期的に完治してしまえば症状が残らない場合と、過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎などのように長期にわたって症状が出続ける病気もあります。
そしてお腹の不快な症状が長期にわたって続くと全身の状態が悪化し、辛い生活を余儀なくされます。
便秘だと自分で判断せずに一度、病院で見てもらうことが、精神面からもよいのではないでしょうか。
便秘に限らず、早期発見・早期治療が健康維持にはとても重要ですからね。
それでは今回はここまで。
注1)2013年1月31日 Bioscience of Microbiota, Food and Health Consecutive Intake of Fermented Milk Containing Bifidobacterium breve Strain Yakult and Galacto-oligosaccharides Benefits Skin Condition in Healthy Adult Women